コラム

お客様との思い出エピソード

地域密着型の電気店として創業50年。お客様との思い出は数えきれないほど。ここでは「Mでん丸」を始めるきっかけの一つとなったあるエピソードをご紹介します。

ある時、ひとり暮らしのお得意様(当時70代・男性)から「テレビの映りが悪いから見てほしい」とご連絡がありました。お伺いすると原因はアンテナの経年劣化による不調。アンテナのある屋上に登ると、桜島の灰が雨樋に積もって水が溜まっているのが目に入りました。
工事が完了し、作業道具の片付けをしていても、やはり先程の雨樋が頭に浮かんで来ます。

お客様は普段とてもきれい好きな方ですが、1年程前に最愛の奥様に先立たれ、失意の中、何かをする気力を失っているご様子でした。私はその方が退職後、奥様といつもきれいに掃除をし、仲良く朗らかに暮らしていらっしゃることを知っていました。いつも私共に声をかけ、応援してくださるお二人。ところが奥様が急な病魔に襲われ、あっという間に旅立たれたのでした。

同行したスタッフと可能な限り雨樋の灰を掃除することにしました。
言葉では言えない悲しみや辛さは誰しも持ち得ることですが、私はきれいになったところを見ていただき、その一瞬だけでも元気になってほしかったのです。
雨樋を掃除し、灰を収集日に出しやすい所にまとめたところ、大変喜んでくださいました。私共の方こそ「お手伝いをして良かった」と嬉しさが溢れました。そのお客様は今でも懇意にしてくださり、時々嬉しそうにこの話をしてくださいます。